リスケジュールは事業再生の第一歩です。

銀行から融資を受ける事ができれば、資金繰りで悩む必要はありませんが、経営不振に陥り、与信が悪化してくると、銀行からの融資を受ける事が不可能になります。

当然、融資を受ける事ができなければ資金繰りが悪化しますから、新たな調達先を探すことになると思われますが、このような状態に陥ってしまったら、大抵どこの金融機関からも断られてしまう事になってしまいます。

銀行から融資を受ける事ができず、毎月、融資の返済をしなければならないですから、資金繰りがとても苦しくなってしまいます。

このような場合の最善策こそ「リスケジュール」です。

リスケジュールとは?

リスケジュールとは返済条件緩和の事をいいます。借入金の返済が苦しくなった時に、一定期間支払いを減額してもらったり、金利だけにしてもらったり、返済回数を増やして一回あたりの返済額を少なくする。

そうした事をリスケジュールと言います。

リスケジュールの交渉

銀行への支払いが困難となった場合、無理して返そうと思わずに、真っ先にリスケジュールの申請をして下さい。

ここで間違っても「借りて返す」という行動をとってはいけません。余計に苦しくなるだけです。まずは金融機関に出向き、支払いを減額してもらえるように交渉しなければなりません。

リスケジュール交渉は、口頭で説明してもあまり相手にされません。

「なぜ、リスケジュールが必要なのか?」という事を理解してもらうために、書面を用意しなければなりません。リスケジュールの案件を稟議にかけてもらう際に必要になりますから、必ず作成しましょう。

リスケジュールで必要となる書類

以下のとおりです。

  • 資金繰り表
  • 経営改善計画書
  • 返済条件変更申込書

最低この3つがあれば、問題ないでしょう。
※複数行にリスケジュールする際は、また、違った書類が必要になります。

書類を用意しましたら、銀行へ行って、リスケジュールの交渉をして下さい。

リスケジュールの成否は、経営者の熱意にかかっているといっても過言ではありません。

ちょっと考えてみて下さい。

「景気が悪くて売上があがらなくて、支払いが苦しいから待って欲しい」
などといった、後ろ向きの交渉より

「支払いが苦しいですが、コストの見直しや、○○で利益体質を作り、○年後には通常通り支払いができるようになりますから、この期間だけは支払いを待って欲しい」
といった前向きな交渉。

どちらが銀行のウケが良いと思いますか?
明らかに後者ですよね。

リスケジュールの最重要ポイントは、経営者自身の「なんとしてでも会社を立て直す」という気迫がものをいいます。

これは精神論ではありません。それに、リスケジュールは「返さない」という交渉ではありません。「支払い期間が長くなるけど、全額返す」という交渉です。

何も、銀行に対して悪い事をする訳ではありませんから、堂々と交渉しましょう。

リスケジュールをすると支払い負担が減り、資金繰りが楽になります。
そうすると、「経営が改善されて、資金繰りが楽になった」と勘違いしてしまい、約定どおりの返済に戻った時に、支払いができなくなってしまうケースも見られます。

リスケジュールをすると支払い負担が減りますが、返済の総額は変わりません。

この事を忘れずに、経営改善を図って下さい。

 

リスケジュールのメリット・デメリット

金融機関にリスケジュールを申請すると、どのようなメリット・デメリットがあるのか、解説していきます

リスケジュールのメリット

資金繰りが楽になるので、経営改善に集中できる
すぐに行えますから、資金繰り改善効果が早いです
売上を上げて利益を伸ばす事により、資金繰りを改善しようとしても時間がかかります。

ですが、リスケジュールをすると銀行への支払い負担が減りますから、資金繰りが一気に改善されます。

例えば、毎月100万円の支払い負担があるとします。
通常通り毎月支払っていては、以下の金額が会社から出て行ってしまいます。
100万円×12ヶ月=1200万円

しかし、リスケジュールをして、支払い負担を減らしてしまえば
年間1200万円が助かることになります。

いきなり1200万円の利益を生み出そうとしても困難であると思われますが、
リスケジュールをする事により、簡単に1200万円が助かります

毎月50万円の支払いであれば年間600万円助かります。

つまり、返済を減額する事は、新規の融資を受けたのと同じ効果があるという事になります。

リスケジュールのデメリット

リスケジュール期間中の新規融資は非常に難しくなります。
リスケジュールについて勘違いをしている人がけっこう多いですが、融資を受ける事ができないのはリスケジュール期間だけであって、今後2度と融資を受ける事ができなくなる訳ではありません。

資金繰りが改善し、事業の利益創出能力が上がる事によって、通常の返済条件に戻しても支払いが可能になった時に、また、融資を受ける事ができます。

キャッシュフローで返済ができるようになれば、また貸してくれるようになりますから、ご安心下さい。

そもそも、融資を受ける事ができないからこそ、リスケジュールをする訳ですから、「融資を受ける事ができなくなる」と心配しても、あまり意味がありません。

まずは支払い負担を減らし、資金繰りを改善していかなければなりません。